チャシ跡~貴重なアイヌの遺跡に、北海道の歴史をみる。

シベチャリ跡遠景

新ひだか町で、歴史散策を

新ひだか町には、貴重なアイヌの遺跡「チャシ跡」が数箇所残されています。チャシは城、砦、要塞などと訳され、戦いの拠点として使われていた建造物と考えられています。しかし現在までに確認されている遺跡はすべてがチャシ「跡」、つまり建物は残っていません。チャシの謎を探ることは北海道の歴史を探ること。新ひだか町で、歴史の旅に出かけましょう。

シベチャリチャシ跡(トップ写真)に残っている壕の跡
シベチャリチャシ跡(トップ写真)に残っている壕の跡

チャシが城や砦であるならば、例えば本州の城のように天守閣や城壁など、建造物の痕跡があるはずでは?と思ってしまいます。しかしチャシの遺跡は新ひだか町のシベチャリチャシ跡のように、ほとんどは壕が残るのみ。このちょっと不思議な事実を、新ひだか町博物館学芸員の斉藤大朋(ひろとも)さんに聞きました。
「まず第一に建物が木造なので、年月を経てなくなったということです。またシャクシャインの戦い以降はチャシ自体が使われなくなっていき、アイヌの生活や記憶から失われました」。
チャシに関する記録は、和人による文書がわずかに残るだけ。それらには情報量が少なく、現状ではチャシの復元図さえも描けないそうです。

チャシの規模については発掘調査である程度わかっており、柱が立っていた穴などから推測すると、「小屋」レベルの小さなものでした。城なのに小さい理由は「アイヌ同士の戦いは殴り合いや毒矢。また松前藩の鉄砲隊は「金堀(かなほり=砂金堀り従事者)」に任せていたので弱かった。だから大きな天守閣や城壁は必要なかったんです。ただ規模は小さくても、機能は中世の城に近かったようです」。
チャシと城の機能に共通性がある理由は、「松前藩統治時代にはアイヌと共闘する和人も少なからずおり、その中に城に詳しい人がいた可能性があります。アイヌと和人の交流は、開拓のずっと前からあったんです」。一見何もないチャシ跡から、交流の歴史が見えてきました。

新ひだか町のチャシ跡は、シベチャリ川(静内川)流域に点在しています。チャシは当初、アイヌ同士の戦いのための砦でした。静内川河口を拠点としたシャクシャイン、上流を拠点としたオニビシらは激しい戦いを繰り広げ、その結果シベチャリ川流域を制圧したシャクシャインが、より広い地域のアイヌを束ねることに成功します。戦の標的はアイヌ同士から対松前藩に変わり、近世最大のアイヌ民族の蜂起といわれる寛永9(1669)年の「シャクシャインの戦い」が起こりました。
しかしシャクシャインの死で戦は松前藩の勝利で終わり、シャクシャインのシベチャリチャシは焼き払われます。この戦以降、アイヌと和人の関係性は大きく変わっていきました。

新ひだか町アイヌ民俗資料館に展示されている、チャシ跡からの出土品
新ひだか町アイヌ民俗資料館に展示されている、チャシ跡からの出土品

シャクシャインやオニビシの拠点だった「シベチャリ川流域チャシ跡群及びアッペツチャシ跡」は、当時の生活をしのばせる貴重な遺跡として、平成9(1997)年に国の史跡に指定されています。
本州に比べ歴史が浅いと思われがちな北海道ですが、こうした中世からの興味深い歴史も多く残っています。チャシ跡を訪れるのもいいですし、町内には博物館や資料館など、アイヌの歴史を学べる施設があります。かつて北の大地で起こった歴史ストーリーを、新ひだか町からたどってみませんか?

 


 

新ひだか町博物館

新ひだか町静内山手町3-1-1
開館時間/10:00~18:00
休/月曜、年末年始、祝日の翌日、資料整理日
料金/無料
問合せ/TEL.0146-42-0934
http://www.shinhidaka-hokkaido.jp

 

新ひだか町アイヌ民俗資料館

新ひだか町静内真歌7-1
開館期間/5月~11月
開館時間/9:00~17:00
休/月曜(祝日の場合火曜)
料金/無料
問合せ/TEL.0146-43-3094

 

シャクシャイン記念館

新ひだか町静内真歌7-1
開館時間/9:00~18:00(冬季変更あり)
休/月曜
料金/無料
問合せ/TEL.0146-42-6792

 

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