キャッスルトップ号、ジャパンダートダービー(Jpn1)制覇!

7月14日(水)に大井競馬場で開催された『第23回ジャパンダートダービー』(3歳・JpnI・ダ2000m)で、城市公(新ひだか町静内豊畑)生産馬キャッスルトップ号が制覇!
3歳ダートチャンピオン王に輝きました。関係者の皆様、おめでとうございます!!!

<右から、城市公(ひろし)さん、妻の悦子さん、娘の麻紀さん>

「ダービー当日は自宅で家族と観戦していたけど、ゴールした瞬間にTVの前でみんなで万歳しました!」と、公さんがゴールの瞬間を振り返ります。

JRAから7頭が参戦する中で、13頭立ての12番人気。
最後の直線で並ばれながらも持ち前の勝負根性の強さを発揮し、最後まで先頭を譲ることはありませんでした。
予想だにしなかった結果に、城市さん一家は優勝した実感がしばらく湧かなかったそうです。

「今回のレースは、自分達にとって“挑戦”の第一歩目でした。血統的には1600mくらいまでなら走れると思っていたので、距離や右回りの適性を見てみたかったのです。でも、最初の挑戦で優勝なんて….。本当にビックリしました!優勝直後から家に入りきらないくらいのお花やお祝いの品をいただき、更に驚いています。」と、娘の麻紀さん。
悦子さんは「ゴールするギリギリまで一着に来るとは思っていなかったので、最初からのんびりとレースを観て応援していました。」と笑います。

公さんは小さな頃に中山競馬場近くに住んでいたこともあり、厩舎関係の子ども達とよくレース観戦をしていたとのこと。悦子さんの父親が牧場を作ったのを機に、“走る馬を自分で作りたい”という思いだけで、28歳で脱サラをして東京から北海道へ移住。
さまざまな牧場で修業を積み、1985年(昭和60年)に馬を1頭だけ購入し、今の場所(静内豊畑)で牧場を始めました。

現在は繁殖牝馬と当歳の他、休養馬を含め11頭が山の麓に広がる放牧地で過ごしています。

「今は珍しいかもしれませんが昼夜放牧は行なわず、朝4時くらいから夕方4時の12時間放牧を行なっています。どんな天候でも必ず外に出して、馬が自分で抵抗力をつけていけるような環境にします。キャッスルトップは小さな頃から元気いっぱいで、親から離れて他の仔馬といつも走り回っていました。当時からとてもやんちゃな馬でした。」と、公さんは当歳の頃のキャッスルトップを振りかえります。

キャッスルトップは1歳の5月に他の牧場に預託。その後、船橋・渋谷信博厩舎の厩務員である長男の幸太さんに調教を託しました。

幸太さんは24歳の時、馬の世界を知らずに素人同然で厩務員として船橋競馬に入り、お父さんの馬を調教すると言い出したとのこと。
「仕事を始めた頃は、馬の世界の厳しさから何度か泣きながら電話をしてきたことがありましたが、その度に突き放していました。馬の仕事はそんなに簡単に出来るものではないですし…。私に厳しく言われ反発することも多かったですが、自分で考え試行錯誤したことで技術が上がっていったのだと思います。」と、公さん。

今では、他競馬場の調教師や関係者に「息子さんはどうやって馬を作っているのか?」と聞かれることがあるそうです。
幸太さんの話をする際の、公さんと悦子さんの顔が終始嬉しそうだったのが印象的でした。

今年で公さんは81歳、悦子さんは80歳――。
牧場を継続していくにあたり、家族の協力が不可欠でした。そして、三女の麻紀さんが戻ってきたのが昨年の8月でした。
「馬に関わってから、まだ1年くらいの素人です。父が目と耳が不自由で運転も出来なくなったこともあり、牧場をやる上で車がないと出来ないことも多いです…。今まで営業事務の仕事をしていたので、仕事の内容はガラリと変わりました。馬の誕生から関われることが面白いですし、やりがいがあります。」と、麻紀さんは仔馬の横で嬉しそうに微笑みます。

<1歳時、放牧地で過ごすキャッスルトップ 城市さんより提供>

キャッスルトップは2歳で無事にデビュー、8戦目で勝利を挙げてから勝ちパターンを掴み連勝を重ねていきます。
「“馬がどこかで息を入れることが出来れば、勝負に関われるのではないか”と、レース前日に息子が話していました。仲野騎手もそのことを意識して騎乗したのだと思います。今回のダービーは、騎手が私たちの思いを背負って本当に上手く乗ってくれました。」と、公さん。

仲野騎手とキャッスルトップにとって、このジャパンダートダービーの勝利が重賞初制覇で、もちろんG1も初制覇。
口取り写真での仲野騎手の笑顔は、城市さん一家の笑顔に負けないくらいの素敵な表情でした。

「生産馬でやっと初の重賞を獲ることが出来たのが、本当に嬉しいです。家族みんなで頑張って勝ち獲ったG1です。家族はもちろん、この馬に関わった全ての人が本当によく頑張ってくれたからだと思います。そして、馬の一番傍にいてくれる息子が本当に頼りになります。」と、息子をほとんど褒めたことがないと言っていた公さんですが、幸太さんを誰よりも信頼しているのが伝わってきます。

幸太さんは「今回の勝利でやっと親孝行が出来た」と、勝利の翌日に電話で話していたとのこと。

<新ひだか町役場静内庁舎に飾られている優勝垂れ幕>

「馬づくりは、自分にとって“夢”そのものです。うちは他の牧場に比べると、繁殖牝馬の頭数はかなり少ない方ですし、血統も一流とは決して言えません。そして、一流の種牡馬を種付けの候補には選びません。でも、その中で自分が出来る事をひたすら考え研究し続けてきました。私は自他共に認める頑固者なので、誰に何を言われようと自分の意思を曲げずに牧場を続けてきました。だからこそ、この歳まで馬を作り続けることが出来たんだと思います。そんな私にずっとついて来てくれた妻をはじめ、5人の子ども達に本当に感謝しています。」

<ジャパンダートダービーの優勝記念の額を持つ公さん>

今回の取材中、何度も公さんが口にしていたのが「家族」という言葉――。
「お父さんが―」
「母さんが―」
「うちの子ども達は―」
冗談を交えながら、それぞれが家族にまつわる話を沢山して下さいました。互いに良いところを認め合い、離れて暮らす家族みんなで牧場支えているのが伝わってきました。

家族が互いを尊敬し、たとえ離れていても思いをひとつにして馬を作る――。
家族の絆で育まれたキャッスルトップの今後の活躍に注目です。