北海道大学静内研究牧場~其の三:うまキッズと探検へ!

競馬ファン・馬好きの方には本当に羨ましい事かもしれませんが、新ひだか町の子ども達にとって「馬のいる牧場風景」は、学校の登下校中に目に入る当たり前の景色です。しかし近くに馬はいますが、競走馬は経済動物ゆえに気軽にふれあう事は出来ません。子ども達にとって「馬」は景色の一部にしか見えていないのかもしれません。

そんな事を新ひだか町に協力隊として着任してから思い、馬産地の事を子ども達に楽しんで知ってもらう機会があればと始めた「ひだかうまキッズ探検隊」(以下うまキッズ)は2年目を無事に終了しました。

今回は冬休み特別編として北海道大学北方生物圏フィールド科学センター静内研究牧場(以下北大牧場)にご協力頂き、うまキッズのみんなと探検に行ってきました。

今回の探検は北大牧場河合正人場長に案内してもらいます。

こちらのワイルドな風貌の方が河合場長です。冬の河合場長のトレードマークはこのあたたかそうな帽子です。腰に携えた道具もとても気になりますね・・・

そして今回の探検で河合場長よりうまキッズに、あるミッションが課せられました。

それは・・・「林間放牧地から越冬地に移動する際、別の道に馬が行かないようにバリケードになり守る」です!

果たしてみんなは任務を遂行する事はできるでしょうか?!

 

まずは馬が放牧されている山林へトラックに乗り込み向かいました。荷台に乗って移動する時に「トラック乗ったことある人-?!」と手を挙げる子がいないと高を括り質問を投げかけると、みんな手を挙げます。これは新ひだか町あるあるなんでしょうか・・・?たまたまなのでしょうか・・・?検証していないので分りません。

トラックを降り山林を進んでいくと、60頭近い馬たちは少し小高い丘の上で今か今かとゲートが開くのを待ち構えていました。うまキッズのみんなは「わぁー!かわいいっ!どさんこだー!」と駆け寄っていきます。

見たことないのが来たぞ!と遠巻きに様子を伺っている馬もいます。

 

河合場長より北海道和種(以下どさんこ)の毛色の特徴についての説明がありました。

よく見ると、馬の毛色がバリエーションに富んでいます。サラブレッドの毛色が8色なのはご存じの方が多いかもしれません。どさんこはそれ以外に「月毛・佐目毛・河原毛・鹿粕毛・青粕毛・栗粕毛」など、日本在来馬の中でも毛色が豊富なのが特徴です。

どさんこの大移動は少しひらけた場所で見守る事になりました。

馬が来る前に一度、スタッフの方から注意事項の説明がありました。「万が一、群れからはぐれた馬がいたら追いかけるとどんどん逃げるので、先回りして馬を追って下さい。」との事。

みんな無言になります・・・大丈夫でしょうか?!うまキッズ!

 

耳を澄まし遠くを凝視していると・・・いよいよやって来ました。60頭近くの馬が目の前を駆け抜けていきます。

はぐれる馬もおらず無事に通り過ぎていき、みんなホッと一安心です!下の放牧地まで歩いて降りていく途中に、林の木々の特徴などの話を聞かせていただきました。

ここでどさんこについて少しお話すると・・・

どさんこのおしりを見て気になっている方もいるかもしれませんが、北大牧場のどさんこの雌馬の臀部には、アルファベット2文字が描かれています。毎年産まれるどさんこの雌馬には漢字2文字の名前が付けられます。その漢字2文字の頭文字が臀部に描かれているのです。

はじめの1文字は毎年1月に宮中で行なわれる歌会始の儀で詠まれる歌のお題を用い、もう1文字は母馬の名前から取って名付けられるのです。たとえば、写真中央のHAと描かれた馬の名前は「葉青(はあお)」。お題が「葉」だった2011年に産まれた、青波(あおなみ)の子です。ちなみに、2019年の春に産まれるどさんこには「光」という文字がはじめに付けられます。

 

放牧地でどさんこの方から近づいて来てくれました。可愛らしい顔立ちの白い流星がある馬です。

実は、額に白い模様(流星)のある馬は北海道和種の登録から除かれます。

この馬の父も母も北海道和種として登録されていますが、血統登録が整備されていない外国から色々な馬が輸入された時代に、先祖が掛け合わせられていた可能性があるので流星が出てきてしまったのではないかとの事でした。北海道和種馬の定義がきちんと定められているのです。北大牧場では北海道和種馬の系統保存と遺伝的特性の研究を行なっています。

うまキッズのみんなはこれだけ多くのどさんことふれあう機会は、今までになかったはずです。冬毛の顔や頚を撫で「フカフカだぁ!」とみんなとても喜んで、どさんことふれあっていました。

いよいよ越冬地に馬たちを移動させます。馬が脱線しないように、みんなでバリケードを作ります。

ゲートが開くのをドキドキしながら待ち構えます。

来ましたっ!先程よりもスピード感があります。毎年の放牧で越冬地に乾草があると分っているからなのでしょうか?60頭近い馬が雪を蹴り上げ駆け抜けていくのを間近で見るのは本当に迫力があります!

越冬地までいく途中に分りにくいかもしれませんが、真っ白な「ユキウサギ」がいました。河合場長の住宅前の敷地には今年5羽のユキウサギが毎日のように出てきて跳ね回っていたそうです。夏は毛色が茶褐色で、冬になると白色に変化します。

私は日高に来てから初めてユキウサギを見ました。その他にも、鹿の大群や丸々としたタヌキ、海岸や河岸でオオワシやオジロワシや白鳥、一度しかありませんが道路脇でフクロウも見たことがあります。ずっと北海道に住んでいながら、野生動物を見る機会は今までこんなになかったなぁ・・・と日高に来てあらためて思いました。

越冬地に到着すると、馬は乾草に夢中でした。並んだどさんこのおしりがなんとも可愛らしいです。

放牧地ではいくつかの群れに分かれていますが、強い馬が一番弱い馬と争うことがほとんどありません。均衡している同じような強さの馬が放牧地でよく争うようです。例えば、2位と3位がケンカをしていて1位の馬にぶつかった時には、1位の馬は2位の馬を攻撃するそうです。馬の集団行動の中には生き残るためのルールがあるのですね。人間社会と似ているところもあるなぁ・・・と思いました。

最後に放牧地で記念撮影をしようとしていたところ、どさんこが映り込んできました!

帰りのバスの中では子ども達は興奮して「こういう探検って面白い!また来たい!」と口々に話していました。家に帰り、どさんこの豆知識を保護者に伝える子もいたようです。

北大牧場は普段気軽に訪れる事の出来ない施設ですが、新ひだか町民をはじめ町外の方にこのワクワクする大自然と触れ合い、北大牧場を体感出来る機会を企画していきたいなと思います。

 

馬産地の歴史からはじまり少し長くなってしまった3部作ですが、皆さんの琴線に少しでも触れていたらなと思います。今回ご協力頂きました北大牧場の河合場長をはじめスタッフの皆様に感謝いたします。

どさんこの親子が放牧地で見られる頃、また北大牧場の記事を書こうと思います。

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