北海道大学静内研究牧場 其の二:どさんこ冬の林間放牧

私が2年前に移住してきて、新ひだか町で驚いた事!ベスト3に入るのが「新ひだか町に北海道大学の牧場がある!」事です。

桜並木で有名な二十間道路を奧へと進んでいくと「こんなところに本当に大学の牧場があるんだろうか・・・」という場所に、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター静内研究牧場(以下北大牧場)があります。

前回の記事で少し紹介しましたが、北大牧場では北海道和種を中心とした80頭近くの馬が飼育されています。馬たちは1年を通して野生に近い状態で放牧されています。

 

中でも興味深いのが12月中旬~1月まで行なわれる冬季林間放牧です。この放牧の光景を見る度に「ここは本当に日本だろうか…」と、まるで異世界にいるような気持ちになります。

今回は北大牧場河合正人場長をはじめスタッフの皆様のご協力のもと、牧場の冬の馬の暮らしを紹介していきます。

 

ここで牧場の広さについて少しお話しますと総面積470ha。

札幌ドーム約90個分の広さ…と言ってもなかなか想像つかないですよね。とにかく広大な自然が広がっています。

放牧地以外の平らな土地では、飼料となる牧草やデントコーンなどを収穫しています。

飼料のほとんどはこの牧場で生産し自賄いしているとの事です。

蹄耕法造成放牧地60ha

採草地・コーン圃場50ha

牧草放牧地30ha

林間放牧地330ha

 

林間放牧用の土地は330haあり、柵で12区画に区切られています。そのうち10区画を冬季放牧に使い、約2ヶ月の間で60頭前後の馬を1週間毎に移動させて放牧します。山林の中で馬がどのように過ごしているか想像がつきませんね。

 

スタッフの方達と一緒にトラックに乗り込み、林間放牧についてあれこれ質問しながら山奥へと進んでいきます。トラックを降り林に足を踏み入れると、いたるところにミヤコサザが生育しています。しかし、葉っぱがほとんどありません。

馬たちがいた1週間の間にミヤコザサはほとんどなくなっていました。

そして倒木や周りの木々に目をやると、木の皮がキレイになくなっています。

林間放牧中はミヤコザサや木の皮を食べ、山林の中を通っている小川から水を飲み、馬たちは生きているのですね。

山からの冷たくてキレイな水が林の中を流れていました。

いくら区切られた山林の中でも、どうやって馬を見つけるのだろう?と疑問に思っていたのですが、スタッフの皆さんはすぐに馬たちを見つけました。午前中は日当たりのよい、ひらけた土地に集団で群れているようです。

林の中から突然現れた馬の群れを発見した時は、思わず「うわぁー!馬がいたー!」と声が出ました!

馬は草食動物なので身の安全を守るために群れで生活をするという光景を、山林の中で見ることが出来ました。

そして、現在と御料牧場時代の写真を比べるとほとんど変化がありません。

昔の馬の姿が現在もここに残っているんだなぁ…と感慨深いです。

「~雑種繁殖牝馬の放牧~新ひだか町博物館所蔵」

 

スタッフの方と次の放牧地まで歩いていきます。なだらかなアップダウンのある、低い枝がほとんどなく、笹も生い茂っていないとても歩きやすい山林です。しかし、山歩きに不慣れな私はつまずいたり、転んだりを繰り返します。。。

所々に道があるのでスタッフの方が歩いた道かと思いきや、よく見ると・・・「馬が歩いた道」でした。

歩きやすく見通しの良いこの山林は、馬が作り上げたと言っても過言ではないのかもしれません。

実際に河合場長は、馬の動き方や食べ方と野草地の植物との関係について「草地・栄養・行動」というキーワードで馬の放牧飼養管理に関する研究を行っています。

地面に陽の光が当たり、植物が発芽し、新しい命が芽吹いていく…

森林管理に馬の力や家畜の力を使えないかという考え方も面白いなと思いました。

この山林の春夏秋冬を見てみたい!と改めて思いました。

 

馬の群れがやって来るのを木の陰から待っていると、遠くから微かに馬の足音とスタッフの方の馬を追う声が聞こえてきます。

・・・来ました!!!

隊列をなして馬が山から駆けおりてきます。

目の前をどんどん馬が駆け抜けていきます。

小川も渡っていきます。

この光景に興奮しすぎて、写真を見返すとピントが合わないブレているものばかりでした。

次の放牧地へのゲートが開くのを、馬たちは今か今かと待ち構えています。

ゲートが開き、どんどん次の放牧地へと駆けていきます。

 

炭山川から新冠に抜ける道路(大規模林道)の上にある橋を渡っています。大規模林道の開通により、家畜が安全に渡れるこの橋(優友橋)が作られたそうです。

優友橋は昭和6312月竣工で、「優友」という名称はかつて北大牧場にいた乗用馬(アラブ)の名前をとって命名したそうです。

当初は「馬の林間放牧の移動の迫力を伝えたい!」と思い記事を書こうと思いましたが、書き進めるうちに歴史・河川・道路・地形など分らない事、知りたい事が沢山出てきました。

「馬を通して色々学ぶ」のが、自分の中にすんなり入ってきやすい学び方なのだなと改めて思いました。馬が絡まないと興味が湧きにくい・・・とも言えますが。。。

 

次回の記事では「ひだかうまキッズ探検隊」のキッズ達が北大牧場を探検した様子を紹介します。

 

新ひだか町地域おこし協力隊

糸井いくみ

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